過去・現在・未来

幼少期から50年以上を過ごされた枚方団地―ご家族と紡がれた、団地ならではの温かな思い出

誕生から70年の歴史を刻んできた枚方団地は、建替プロジェクトによって新たに「OPH枚方駅前」として生まれ変わりました。今回は、幼少期から50年以上にわたりこの地で暮らしてきたKさんに、長年住んできた地域の魅力や暮らしの変化についてお話を伺いました。

大阪府住宅供給公社スタッフとKさん(中央)
大阪府住宅供給公社スタッフとKさん(中央)

3歳から50年以上を過ごされた枚方団地での暮らし

Q: 枚方団地にはいつ頃からお住まいでしたか?

昭和45年、僕が3歳の頃に家族で引っ越しをしてきました。親の知り合いがこの団地に住んでいて紹介をしてもらったそうです。その時は3人家族でしたが翌年に弟が生まれ、それからは4人で暮らしていました。弟が生まれたことは特に印象的で、近くの産婦人科に行ったことは今でも記憶に残っています。

___ 今でも当時のことを良く覚えていらっしゃるのですね。4人家族での新しい生活に胸を躍らせていたシーンが伝わってきます。

Q: 当時、ご家族でどのように生活されていましたか?

2DKの間取りで勉強机を2台並べていました。僕は3歳くらいの頃から音楽に興味を持ち始めたのですが、部屋には知り合いの方に譲ってもらったオルガンもありました。その数年後にピアノを買ってもらったのですが、階段しか無かったので、業者の方が担ぎながら上がってくる姿は今でもよく覚えています。その頃流行っていた大型ステレオも出窓に置いて使っていました。子どもの頃は電車が平面を走っていたので、弟と一緒に家の窓から見るのも楽しみでした。

___ ご家族と一緒に音楽や趣味を楽しんでいた頃の生活が、今でも温かく心に残っているのが素敵ですね。

インタビュー中の写真
昭和56年頃の枚方団地外観

団地ならではの風景と日常

Q: 枚方団地で印象に残っていることはありますか?

団地の桜の木がすごく綺麗で、僕たちの成長に合わせ、毎年、桜の木の前で親が写真を撮ってくれていました。遊んでいた時に団地の木に頭をぶつけて縫うほどのケガをしたことも記憶に残っています。夏になると毎朝親と一緒に蝉取りに出かけたのも楽しい思い出です。

2棟の前の敷地では近所のお兄ちゃんたちがドッジボールをよくしていたので、混じって遊んでもらっていました。その場所は集団登校の集合場所にもなっていました。

___ 成長とともに写真に残された桜の木や、敷地内で遊んだエピソードなど、お話を伺っていると、団地が単なる住まいを超えて、心に刻まれる思い出の場所だったことが伝わってきます。

枚方団地建替え前の桜の木
枚方団地建替え前の桜の木

Q: 団地ならではの「あるある」はありますか?

今ではあまり見慣れないかもしれませんが洗濯物は屋上に干していました。僕の家はお風呂場がありましたが、最初から浴槽がついていたわけではなく、ヒノキの浴槽を後から入れていました。炊事場に焚口のスペースがあり、その裏側にお風呂場がありました。

___ 当時はお風呂場に自前の浴槽を設置していたのですね。ヒノキの浴槽で毎日温泉気分を味わえそうですね!

部屋の間取りも今とは違い廊下がなかったので、今の家の造りより有効的にスペースを使っていました。今思うと狭いですが、小さい頃からそこに住んでいたのでそれが当たり前でした。荷物が増え、自分たちも大きくなって隙間に布団を敷いて寝ていましたね。大きな押し入れがあったのでそこを秘密基地みたいにして遊んでいました。

___押し入れの秘密基地はまさに子どもならではの楽しい工夫ですね。みんなで一緒に寝ていたという記憶はご家族にとって大切な思い出ですね。

当時の間取り図を見ながら思い出を語っていただきました。
当時の間取り図を見ながら思い出を語っていただきました。

変化する街並みと商店街の記憶

Q: 当時の枚方団地の周辺はどんな街並みでしたか?

枚方市役所の近くに川の絵が書かれている道がありますが、昔ここには川が流れていたんです。団地を出たところにも川があってそこに繋がっていました。枚方市駅が平面だった時のことも覚えています。商店街がスーパーに変わり周辺の景色が少しずつ変わっていく様子を感じていました。

駅近くの商店街によく母と買い物に行ったことを覚えています。お肉屋さんにはコロッケが20円くらいで売っていておやつとして食べていました。毎朝三重から魚を運んできてくれる魚屋さんもあって、体が弱かった僕のために母がよくカレイの煮つけなどを作ってくれたことも良い思い出です。

___ 昔の街並みや商店街の様子が目に浮かんできました。お母様と一緒に行った商店街の思い出やおやつのコロッケに日常の温かさを感じます。特にお母様の愛情がたっぷり詰まったカレイの煮つけのお話はとても素敵なエピソードですね。

インタビュー中

建替プロジェクトへの思いと新しい生活

Q: 建替え後もこの場所に住まれていますが、現在の暮らしはどうですか?

建替プロジェクトの話を聞いた時は「やっとか」という思いの一方で、これからどうしようとあたふたしました。長年暮らした家がなくなることへの不安はありましたが、親は山口県、弟は茨城県に住んでいるので大阪がちょうど真ん中あたりになると思い、建替え後もここに戻ることを決めました。弟も出張があると来てくれるのでやっぱりここを離れられないなと思います。今度親や弟を呼んでみんなで集まる予定です。

___ 建替プロジェクトを機に、この枚方という場所が、一緒に過ごされてきたご家族にとっても、大切な場所だと改めて感じられたのですね。建替え後の建物を見られるご家族の反応も楽しみですね。

僕はベランダのある住宅が初めてなので、広いベランダをどう使っていこうかと考えています。2階から高層階に住むことになったので眺めも良く、今年の花火はベランダから見ました。設備も最新で二重サッシになっているので遮音性も良いです。駅が近く便利なので、ここに住める限りはこの場所に住みたいと思っています。

___ 新しい生活に少しずつ慣れながら、快適に過ごされていることが伝わってきました。花火が見える素敵なベランダは、これからどんな使い方をされるのかも楽しみですね。

幼少期から枚方団地で暮らし、地域とともに時を重ねてきたお話を伺い、ご家族との大切な思い出や街の変化にまつわる懐かしいエピソードをたくさん共有していただきました。これからも枚方団地が心の故郷としてご家族が集う場所であり続け、新しい住まいでも素敵な思い出がたくさん生まれることを願っています。

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